kuenishi

Jul 08 2008

<7月4日>(金)

○またまた新しい安全保障関連の研究会が始まってしまった。われながら、この手の会合をいくつかけ持ちしているんだろう。でも、テーマが「シナリオ・プランニング」と聞いたら、捨ておけないではありませんか。急に、「アジア2025」なんぞが懐かしく感じられる。ペンタゴンでは、アンドリュー・マーシャルがなおも健在で活躍しているそうだが、果たしてわが国の将来はどうなるのでありましょうや。

○さっそく今日、仕込んだ知識によれば、中長期戦略研究の手法として、アメリカでは”Trends and Shocks”という手法が生まれているのだそうだ。普通、長期予測というと”Trends”を追い求めることが中心で、「少子高齢化」やら「環境問題」みたいなことを取り上げる。しかし実際問題として、歴史とは本質的に不連続なものであり、「ある日突然に」劇的な変化が訪れて、それから先は得てして考えてもみなかった未来が開けてくるものである。それが”Shocks”である。つまり「トレンド」は予測できるが、「ショック」は予測できない。従って長期の安全保障戦略を描くためには、「トレンド」に対するヘッジを行うと同時に、将来起こりうる「ショック」を予防し、対応が容易になるように備える必要がある。

○なんでこういう手法が生まれたかというと、察するにアメリカにとって「9/11」があまりにも大きな「ショック」だったからだろう。真珠湾攻撃でも、スプートニクショックでも、アメリカの軍事戦略は劇的な変化を余儀なくされるわけであるが、「9/11」からこの方の変化もすさまじいものがあった。イスラム圏の「トレンド」をきちんと読んでいれば、テロリズムの脅威という「ショック」も予測しえたはずだという意見もあるだろうが、そういうのは所詮は後知恵というものである。「ショック」は本質的に予測が困難なものだ。だからと言って、「わっかりませ〜ん」とトボケてしまうわけにもいかないのが辛いところである。

○いつものクセで、この手の話を聞いていると、「これがビジネスの世界であればどうなるか」を考えてしまう。幸いなことに、安保と違ってビジネスの世界では「命までは取られない」という安心感がある。ゆえに長期戦略が外れたところで、「まあ、しょうがない」と居直ることが出来る。というか、「ある日突然、アップル社がi-podという画期的な新商品を開発する」といった事態は、ほぼ確実にソニーにとって予測不可能であろう。つまり経営環境というものは、安全保障環境に比べるとはるかに不確実性が高い。ゆえに大事なのは「ショック」が起きてしまった後の対応なのである。

○それどころか、ビジネスの世界においては、ときとして「ショック」は良いことであったりする。経営環境が激変するときは、得てして企業にとってはイノベーションのチャンスとなる。特に日本企業の場合、長期のプランを立ててコンティンジェンシーを準備するのは苦手だが、ある日突然「さあ大変」という事態に直面したときに、「全社一丸」で危機を乗り切るのは得意である。1973年のオイルショックや、1985年のプラザ合意は、日本企業に巨大な重石となったものだが、それがなければこれだけ多くのグローバルブランドが、日本に育つことはなかったはずである。

○企業にとって、なぜ「ショック」はいいことなのだろうか。企業にとって、イノベーションを生み出してくれるのは、得てして非主流派の人材である。ところが、平時においてはそういう人たちは逼塞している。天地がひっくり返るような事態になって、初めて彼らの出番がやってくる。そういう「変人」たちが、企業に劇的な変化をもたらしてくれる。変な例だが、自民党が2000年に深刻な危機に陥らなかったならば、小泉純一郎はただの変人政治家として終わっていただろう。組織にとっては、有事はときどきあってくれた方が、長期的に良い効果が得られるものだ。これまた変な例だが、8年に1度のサミットの警備のたびに、警察が組織を引き締めるようなものである。

○もっともこの場合、「ショック」は自らに責任のないものでなければならない。1990年代に起きた金融機関の不良債権問題のように、危機が「自業自得」タイプである場合は、日本企業は責任回避に動いてしまい、かえって効率が悪くなる。天から降ってくるような災害が起きたときのみ、個人には危機感が芽生え、組織には結束力が生まれてくる。他国はいざ知らず、日本の組織は情報の共有度が高いので、こういうときに絶大な力を発揮するものだ。

○そういう意味では、昨今の資源価格高騰というのは、日本企業に新たに「自分に責任のないショック」を与えて、新たな比較優位をもたらしてくれるきっかけになるのかもしれない。と、こんな風に、安全保障と経済の世界を行ったり来たりできるのが、まことに楽しいのである。

かんべえの不規則発言 2008/7/4

http://tameike.net/comments.htm#new

Jul 07 2008
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kirinfish:

WEST SIDE 関戸優希
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no title

ミクシの横の広告はいつもいつも痛々しいなあ。なんでだ。

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